再生医療に革命?STAP細胞はぶっちゃけ何の用途で使えるのか

日本唯一の自然科学の総合研究所、理化学研究所が「万能細胞」STAP細胞を作り出したことが話題になっています。

理化学研究所は独立行政法人で、かつては湯川秀樹などを輩出した、ゴリゴリの名門機関です。現在、国際競争力を狙って新設される「特定国立研究開発法人」への移行が政界で検討されています。

ある意味SF的?STAP細胞の使われ方

まず最初に、難しいことは抜きにして、
今回発見されたSTAP細胞というのは何に使えるのでしょうか。
期待されているのは、主に再生医療の分野での活用です。

つまり、人の病気やけがなどなんらかの損傷が起こった部位を、この細胞を使って再生することです。人体の仕組みを解明することで、がんの抑制策なども考えられるのではないかと言われています。

早速ハーバード大学では、STAP細胞を利用して脊髄を損傷した猿の治療の研究に入っているとのことです。

生物学に縁がないとまるでSFのようにも思えますが、現実は意外と近いところまで来ているのかもしれません。もちろん注目度は高く、海外でも各国でほぼまんべんなく称賛の声があがっています。

STAP細胞は何故注目されているのか?

STAPとは英語表記の略で、元の英語を直訳すると
「刺激惹起性多能性獲得」細胞となります。

端折って説明するなら、弱酸性の溶液で刺激を与えることによって一旦細胞の状態をリセットし、あらゆる機能の細胞に進化しうる状態まで初期化した細胞、ということです。

この研究が話題になっているのは、従来、外部から少し刺激した程度では、万能の細胞をつくることはできないというのが常識だったためです。

万能細胞には以前ノーベル賞を受賞した山中教授が開発したiPS細胞がありますが、iPS細胞は遺伝子を人為的に内部に埋め込むことで初期化させる手法です。初期化が可能であること自体は山中教授らの研究で立証されていたものの、あくまで内部的な操作によっておこるものとされていたのです。

今回のSTAP細胞の発見は、平たく書いてしまうなら、
「まさかこんなシンプルな方法で…」という点において、従来の常識を覆したということになります。インパクトは大きく、iPS細胞の発見者である山中教授も称賛のメッセージを贈られています。

また、STAP細胞は、iPS細胞と比較して生成期間が短く、より初期化の度合いが大きいということで、より多様な活用が期待されています。

理系の研究は長い目でみることが必要では?

ただし、今回の成功はあくまでもマウスでの実験によるものです。
人間に適用できるかどうかはまだ不透明です。
また、安全性なども当然ながら現段階ではわかりません。

研究者の方ご自身、100年後を見据えた研究と語られたように、
長い目で見る必要があるでしょう。

今回に限らず、理系の研究は、社会的なインパクトが大きい反面、
活用方法に当たっては安全面・倫理面など、
非常にクリアしなければならない問題も多いことが常です。

その意味で、今回の発見については、当事者である生物学関係者はもとより、社会的な面でもいたずらに加熱せず、冷静な対応をする必要があるのではないでしょうか。

お祝いをするのは悪くないとは思うのですが、周囲がヒートアップするばかりで、当の発見者自身が一番冷静に見えるのはさすがにどうなんだろう、と疑問を感じざるを得ないのです。

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