とりあえず地元に帰りつきました。地元に帰ると、毎回まずやることがあります。行きつけのラーメン屋にいくことです。普通に考えたら、自宅に直行で帰った方が安上がりですし、なにより家庭の味が食べられるのですが、この習慣だけは譲れないのです。
というわけで、今回はわたしが地元に帰った際に必ず訪れるラーメン店「来々軒」について語ってみようと思います。というのは、わたし自身も最近知ったのですが、実はこのお店、九州のとんこつラーメンを語るうえでは外せない名店らしいんですよね。
九州とんこつラーメン元祖の味、小倉「来々軒」本店
伝説の名店「三九」を受け継ぐ直系の店
小倉の「来々軒」は宇佐町が本店、そして紺屋町や清水・富野などに支店が点在しています。
いずれのお店にも共通するのは、いかにも街のラーメン屋的なてらいのないありふれた外観と、北九州基準で考えても明らかに安いお値段。そして、一般的に濃厚なイメージの強い久留米ラーメンのイメージからはいささか外れた、思った以上にさっぱりした味わいです。
味については、店ごとに多少の違いはあるものの、「さっぱり路線」という方向性自体は統一されている印象です。
この「来々軒」、もともと九州とんこつラーメンが広まるきっかけを作ったともされる「三九」創業者が屋号を知人に譲ってそのまま小倉に移転したのがそもそもの始まり。そして、その移転先というのが、現在の宇佐町本店です。
本店は創業者の息子さんによって営業が続けられています。モロに直系のお店というわけで、味わいの面でも、元祖である「三九」の味を一番残しているのが宇佐町本店とされています。
「来々軒」宇佐町本店 久留米ラーメンには異質なさっぱり味
「来々軒」の中でわたしが一番よく通うのもこの宇佐町本店です。
小倉という街は、中心部こそかなりにぎわいのある界隈なのですが、多くの地方都市がそうであるように、住宅街や小規模な商店街といったこじんまりとした街並みが市の大半を占めています。そんな街並みの片隅にある、ごくごくありふれたラーメン屋が「来々軒」の本店です。場所としては、中津口を宇佐町方面に曲がって、高速の高架下を超えた付近です。
前述のように飾り気のない外見、定番通りの暖簾。どうみても、九州とんこつラーメンの元祖というような大それたイメージとは無縁です。でも、こういう店の方が、変にブランド化したお洒落なラーメン店よりも私にはピッタリ来ます。
出てくるのは、別にことさら凝っているわけでもない、ごく普通のシンプルなラーメン。
先に述べたように、味わいは久留米ラーメンにとどまらず、九州とんこつ全体を見渡しても珍しい、さっぱりした感覚です。もちろんとんこつ特有の匂いはしますが、そこまで強いわけでもありません。逆に言えば、今の多くのとんこつラーメンが、かなり元祖とは違って濃厚な味わいに変化していることを再認識させてくれます。
また、さっぱり味とは書きましたが、スープの味わいそのものはかなり深みがあり、じっくりと味わえる逸品に仕上がっています。
ラーメンブームと無縁だったからこその懐かしい味わい
そんな味わいだけに、一度啜り始めると、次から次にズルズルとすすれてしまう。とにかく食べやすい。そして、わたし自身の思い入れは抜きにしても「懐かしい味」なのが特徴です。
ラーメンブームを境にしたお店間の競争の中で、個性を出すために様々なアレンジが当たり前になったラーメン業界ですが、ここは老舗だからか、そうした風潮と無縁だったことも大きいでしょう。わたしはさすがに元祖の味は知らないのですが、それでも大昔、まだ学生だった頃に食べた思い出の味と寸分たがわない味が堪能できます。
その特徴から言って、どっぷり濃厚なラーメンや、最近のアクが強いラーメンがお好きな方には物足りないかもしれません。ですが、それ以外の方であれば万人向け。広くお勧めできる名店です。古き良きラーメンって、こんな感じだったなあ、という感覚をじっくりと思い出させてくれるはずです。
懐かしのラーメンで地元モードに頭が切り替わる
来々軒のクチコミは以上なのですが、わたしの場合、ここのラーメンを食べると、途端によく食べに来ていた昔のことを思い出します。そして、頭が地元モードにカチッと切り替わるのです。これを食べてようやく、普段のことを一旦棚上げできるという、そんな感じです。
その意味ではただの食事という以上に、気分を切り替えるための儀式に近いかもしれません。
実家に帰られる方は、もし昔行きつけだった食堂などあるようでしたら、この機会に行ってみてはいかがでしょうか。これはこれで、一年の疲れをリセットできる、定番の習慣になるかもしれないですよ(ただ、デートなどでは使いづらいのは言うまでもありませんが・・・)。
何にせよ、年末はゆっくり休んで気力を充実させましょう。よいお年を。