怪しげなサイトを見て回っているうちに、なぜか覚えのない課金メッセージが表示される。
しかも、ウインドウが消えない…
こういうのは、多くがワンクリック詐欺、ツークリック詐欺といわれるものです。
以下、この詐欺について、流れの詳細と引っかかってしまった場合の対処法をお伝えします。
詐欺サイトは人の不安がターゲット
詐欺サイトの代表的な流れをまとめると、以下のようになります。
1.契約を予想できないタイミングで「契約」成立と謳う
タイミングの例としては、動画の再生ボタンを押す時や、サイト入口の年齢認証時など。規約を匂わせる小さなウィンドウを別途立ち上げるようなケースもある。
2.脅迫的なメッセージウインドウの表示
「請求書」「IPアドレスや使用ブラウザなどを読み取った画面」「期日までに支払わないとメールや電話で請求するとの脅し文句」などがいきなり表示され、以後消せなくなる。また、この際にウィルスなどを仕込まれる場合もある。
この内容は年々巧妙になってきており、最近では「フォークリック詐欺」といった事例も出てきています(これらの名前は「契約成立」までのユーザーのクリック回数に由来しています)。
多くのケースでは、形だけの「利用規約」を作り、ユーザーの「納得はいかないけれど、規約にはちゃんと書いている」という不安な気持ちに付けこむのが常套手段となっています。もちろん、これらの規約は、目立つ位置にあることはまずなく、普通に閲覧していたらまず気づきません。
ワンクリック詐欺へのメイン対応策とは?
とはいえ、このような契約は法律上そもそも成立しません。ですから、明確な対処法があります。
基本は「無視」です。間違ってもサイト側に連絡してはいけません。
画面に出ている請求書などを見ると、IPアドレスやプロバイダ情報などが出ているので、個人情報を掴まれてしまったのではないかと不安になると思いますが、この程度の情報はインターネットに接続している限りはどこのサイトでもわかる情報です。もちろん、詐欺サイトに対してプロバイダが情報を開示すれば、個人情報を掴むことは可能ですが、そもそも詐欺サイトの開示請求に応じるプロバイダなどいません。
つまり、この段階では詐欺サイト側は、あなたの個人情報は何も持っていない状態です。ですから、ほとんどのケースでは、サイトに連絡さえしなければ、これ以上事態が悪くなることはありません。
どうしても不安を感じるようなら、この段階で消費者センターや警察に相談するといいでしょう。ほとんどの場合は、このまま放っておいても解決に至ります。気分は悪いとは思いますが…
無視が通じない、わずかな例外
ただし、確率としてはごくわずかですが、無視してはならない例外があります。
それが『裁判所から少額訴訟の呼び出しが来たとき』です。
これは「少額訴訟詐欺」ともいわれるもので、詐欺サイト側がこちらを相手どった少額訴訟を起こすというものです。ほとんどのケースではここまで発展することはありませんが、何らかの形で相手がこちらの身元を特定した場合に発生することがあります(通信会社からの流出情報・スパイウェアの混入など、特定する手段には様々な説があります)。
これを無視して出頭しなかった場合、欠席裁判扱いになります。こうなると、詐欺サイトの言い分が無条件で通ってしまいますので、このケースだけは絶対に放置してはいけません。
まず裁判所にまず訴えが出されていることがまちがいないか確認した上で、消費者センターや警察に相談するのがベストでしょう。この手の裁判では、あなたが出頭して状況を説明すればまず詐欺サイト側は負けます。これは「相手が来ない事を狙ったダメ元の詐欺」なので、放置さえしなければOKです。
なお、念のための注意点ですが、呼び出し状が来て裁判所に確認を取る際には、ご自分で該当する裁判所の連絡先を調べることをお薦めします。なぜなら、呼び出し状自体が偽造で、電話番号も相手先のものである可能性もなくはないためです。
●PCについてはケースバイケース
この手の詐欺では、むしろPCの被害の方がこわいです。
たとえば上記の「消せなくなる請求書」などは、プログラムを勝手に自動インストールされたり、既存のプログラムやレジストリなどの情報を勝手に書き換えるなどの手法で行われます。さらに悪質な場合はウィルスやスパイウェアがインストールされ、PC内の情報の外部流出につながることもあります。
これらは、対処しようにもすぐにできるというものではありませんし、加えられた攻撃によって取るべき対応も様々です。早急に一旦ネットへの接続を切り、その上でウィルスチェックを行いましょう。
それ以降については、状況によりケースバイケースです。請求書については原因を突き止めて修正するまでは消えませんし、ウィルス等がすべて駆除できているとも限りません。判断が難しいならOS自体を再インストールした方が安全です。技術的に自信がないなら、専門店に相談された方がいいでしょう。
◇ 消費者センターはこちら
⇒http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
◇警察庁(インターネットトラブル)はこちら