話には聞いてはいましたが、X-JAPANが復活公演をするそうで、今本屋に行ったら、時期をあわせたのか別冊宝島でX-JAPANのムックがでていました。いやー、懐かしい。久方ぶりに髪立ててたころのメンバーをみましたよ。当時は、学校の卒業文集なんかにも「尊敬する人」の欄はクラスの1/3がXのメンバーだったな(ちなみに、クラス全体の1/10くらいがBUCK-TICKとかの面子を書いていた)。
ジャニーズと人間椅子が同居していたバブル期
Xが一番売れてた頃って、ヴィジュアル系ブームではなく、バンドブームの時代で、さらにアイドル全盛時代の最後期(当時は、チャートの1位はWinkとか工藤静香とかだった)だったから、ごった煮すぎるカオスっぷりが楽しかった。
学研とか小学館の学習雑誌(○年コースとか)には芸能のページがあったんだけれど、少なくとも、私は光GENJIとWinkと工藤静香とXと筋肉少女帯と人間椅子が記事を連ねる雑誌というものをあまり知らない(CDでーたみたいな総合誌は除く)。新人バンドの青田買いも激しく、まだメジャーデビュー前の、言ってしまえば泡沫バンドさえもガンガン載る相当マニアックといっていい状態になっていた。というか、学習誌ですらここまで走らせたというのがすごい。
バブル崩壊は価値観の変わり目
今考えてしまうと、あの当時って芸能以外の世界でも、価値観の変わり目だったんだな、と思う。バブルがそろそろはじけるかなってころで、まだ某芸能人が「私が売れなくなるときは銀行がつぶれるときだ」みたいな発言をして、それをだれもが「冗談でしょう」と思っていた時代。その数年後には経済とか就職とかに寒風が吹き始め、銀行も潰れ、件の某芸能人もあまり売れなくなってしまったわけだけれども、同時に芸能界も、バンドブーム期を見てしまった世代から見ると、一時かなり落ち込んだ印象があった。
確かに新人はでるし、小室系も売れてはいたけど、なんか…うまくいえないけど元気ねえなぁ、みたいな。時代の切れ目というか、泡がはじける前と後でズバっと分断されてしまったような感じだった。まあ、博打に出られる余裕がなくなっただけなのかもしれない。
バブル期は狂った時代だったのか
バブル期って今ではネガティブな評価しかされない。まあ、確かに狂ってた時代なのかもしれない。地上げは横行していたし、金尽くしだったし、ジュリアナの写真なんて、今見るとなんじゃこりゃって感じだし。退廃的といえば間違いなくそうだ。よくバブル期は狂っていた時代という表現がされる。それはそれで間違ってはいないと思う。地上げの横行などを考えたら、マイナスも大きかったのも事実だ。
でも、じゃあ今がどうかっていうと、狂ってるという意味では大して変わらない気がする。ただ単に金がなくなっただけで、退廃的なところは全然変わってないからだ。むしろ、余裕がなくなって、さらにタチが悪くなったっつーか。清貧と単に欲を満たせず苦しむのは別ものなのだ。それで社会全体がドンヨリしてしまうなら、それはもはや清貧だの倹約だのと言って済ませるレベルの問題ではない。
そういう方向で話を進めると、バラまける金があるって重要だよね、というミもフタもない結論になってしまう。たとえそれが一時の異常な出来事であったとしても、無駄を許容する余裕があったというその一点だけで、バブル期には十分すぎるほどの価値があったと思うのだ。
「バブルは帰ってこない」を前提に
ただ、いくら価値があろうと、少なくとも現状がそうではない以上、時代に即した、違った形の余裕が欲しいもの。せめて、金がないなりに、それなり程度に壊れた、芸能的にいえば泡沫新人に突っ込む真似ができる程度の洒落っ気がほしいところです。でも、現実的、物理的に追い詰められていると、それはやっぱそれは難しいんでしょうか。
お偉方は景気が悪いとか業績が悪いとかいうけれど、素人目には、このドンヨリした空気がずっと続いていく方がよっぽどよろしくないように見える。とはいえ、即効性のある解決策があるわけでもない以上、そろそろ庶民の方から金という価値観の捉え方を変えるべき時期にきているのかもしれない。一度こういう時代になってしまった以上、あの時代特有の豊かな空気感が戻ってくることは、少なくとも当分はないだろうから。
…で、長々書きましたが何が言いたいかっつーと、そろそろ醤油ご飯生活から脱却してえなあってだけなんですけどね。すいませんね自分本位で。