「80年代してる」音楽とは何だったのか

先日、子供のころ、ごく一時期みていたテレビアニメを再視聴する機会を得た。
・・・(無言)・・・懐かしすぎ(号泣)!!
いやもう、作品が目の前にあるとゆうこと自体はもちろん、今ではむしろレアとなったモロアナログな作画やら、その辺も含めてとにかくあらゆる要素が懐かしかったわけだが、そのなかでもエンディングのキラキラっぷりはどうよ。ああ、心地いい。

「キラキラ」してた80年代音楽

80年代の音楽を指して、よく「キラキラしてる(した)音」という表現が用いられる。あまり80年代のポップスとか聴いたことのない方には分かりづらいだろうけど、実際聴いてみると、言葉の意味が分かっていただけると思う。比喩でなく、実際に「キラキラ」としか表現のしようのない音なのですよ、これが。

この音の表現を持って「80年代の音楽」の特徴とする人もいる。実際、この手の音は、90年代に入った瞬間に見事に影も形もなくなってしまった。そういう意味では、80年代音楽の特徴という見方は決して間違ってはいない。

時期から考えると、この「キラキラ」音の全盛期は、ピッタリと女性アイドルが全盛を極めていた時期と重なる。平成生まれの方には想像できないかも知れんが、かつてチャートのトップのほとんどを女性アイドルが占めるという、そういう時代があったのだ。
彼女たちの「可愛さ」を表現するのに、あのキラキラ音ほど絶妙にハマった音はなかったことを考えると、そのへんにも大きな理由はあるかもしれない。

もうひとつ、ニューウェーブなどにみられる打ち込み主体のアプローチが「特別な音楽」としてみられていた、その最後の賞味期限が80年代末だった、という考え方もできる。80年代は、打ち込みというだけでも何かしら「未来的!」というイメージが与えられたのだ。「キラキラ音」は、いわゆる打ち込み主体の音楽に比べればそのイメージは薄いけれど、それでも、演出として使う分には充分だったのだ。

キラキラした音楽は昭和末期の貴重な遺産だ

けれど、90年代になった時点で、それは既に消費されつくされてしまった。要するに当たり前の音になっちゃったわけで、こうなってしまうと未来もへったくれもなかっただろう。そして、それにキレイに連動するように、細かな音作りも変わっていったのは面白い。キラキラ音が消えたのはもちろん、リズムパターンの流行りまで変わってしまい、当時のベーシストやドラマーは変化に対応するのに苦労したという。

そこまで変わってしまった理由はいろいろ考え付くのだけれど、ただ、キラキラした音に満ちた80年代の音楽は、どれも(暗い曲でさえ)妙に明るい。なんとなく閉じていない、この先にまだまだ希望がある・・・的な雰囲気を感じさせる音なのだ。まあ、音の呼び名からしてなんとなくそんな感じだけど、これがなくなるとほぼ同時にバブルがはじけたっていうのは、何か暗示的だな、とも思うのです。

バブル時代なんて、今となっては「狂った時代」「バカな時代」と揶揄され、当時恩恵を受けた世代が「もう一度こないかなぁ」と願う、といった図式にピッタリハマった時代になってしまったけれど、当時小学生で、大して恩恵を受けられなかった私なぞでも、あのキラキラ音だけでもバブルの実績としては充分かな、って気がするのです。あの音は多分、当時のような明るい時代じゃないと受け入れられづらいだろうし。
「キラキラ」音を知る世代が完全にいなくなってしまったとき(もしくはみんながその存在を忘れてしまったとき、でもいいや)はじめて、完全に昭和って時代が終わるんだろうな、と個人的には思うのです。

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