JRが羽田空港直通を検討、使われる東海道貨物線とは?

JR東日本が、東京駅から羽田空港への直通路線の新設を検討していることを、昨日明らかにしました。羽田まで都心から伸ばすこと自体はかねて話はあったのですが、東京駅からの直通というのは昨日がはじめての発表です。もっとも、あくまでも検討段階ですが…

※(2020年追記)その後、計画が大幅に進展したため、別項で20年現在の状況を追加しました。お急ぎの方はこちらから。

発表されたルートは東海道貨物線使用

発表された内容では、現在考えられているルートは、東京出発時点では東海道線を使用、田町付近から、海側に分岐する東海道貨物線に乗り入れます。そのまま東京貨物ターミナル駅(大井ふ頭中央海浜公園の近くに位置します)を過ぎて地下にもぐり、そのまま羽田まで直行。

現状で東海道貨物線は、前述の地下区間のあたりで羽田空港のそばをかすめています(天空橋駅近辺)。そこから分岐させるトンネルを作るということなのでしょうか?

東海道貨物線は実は重要ルート

この計画で使われる東海道貨物線ですが、名前のとおり貨物専用線のため、一般の乗客にはなじみの薄い路線です。東海道線の支線扱いで、本線とは分離・合流を繰り返しながら浜松町から小田原まで伸びています。横浜側の一部経路は、別に建設が進んでいる、相模鉄道のJR直通計画(2018年度完成予定)に使用される区間です。

一方で、浜松町から東京貨物ターミナルまでは現在休止状態です。もともとは東京地下鉄の大江戸線建設の際に、工事の関係で休止、という話だったはずなのですが、そのまま再開されることなく現在に至っている区間です。そして、このうち田町~東京貨物ターミナルまでが、今回羽田直通線に利用される予定の区間なのです。

ですので、これで羽田直通が決まった場合は、貨物線という名前ではあるものの、かなり旅客列車の走る割合が増えそうです。というか、冷静に考えたら、貨物が現時点で休止状態である以上、旅客列車が走り始めたらもう実質貨物線とは言えないのでは…?

余談はさておき、東海道貨物線は、実は一般客にとっても、未来の重要ルートになるであろう路線と言えるでしょう。

実現は先だけどインパクトは抜群

もっとも、羽田直通線については建設可能か自体がまだ調査中ということですから、実現は遠そうです。鉄道は計画が表にでても、そこから完成までが相当かかるのが普通ですしね。

とはいえ、実現すれば、東京都心の交通の流れに相当のインパクトを与えるのは間違いないでしょう。

現状では東京駅から羽田に行くには、東京モノレールか京急への乗り換えが一般的(バスという手もありますが、遅延が怖すぎます)です。

それが乗り換えなしの直行。さらに、仮に南北縦貫線(建設中)を直通させるなら、東北本線方面からも一本となります。羽田空港自体の地理的なイメージもだいぶ変わるでしょう。

特に国内線の飛行機に乗る方には相当便利だと思いますので、是非JR東には実現目指して頑張っていただきたいと思います。

20年現在の羽田空港アクセス線の進展状況と展望(2020/12追記)

その後状況が大幅に進展したため、以下でまとめます。

まず、とりあえず路線の名前ですが、現状ではJR公認の仮称として「羽田空港アクセス線」が使われるようになっています。

現状での進展状況は、2019年の時点でJRが環境アセスメントを開始。また、2020年初頭には、国土交通省の東京空港整備事務局が、基盤の整備に着手すると発表しています(現時点では関係事業者との調整・調査などの段階とのこと)。

具体的なルートについては、現在発表されている計画では、まず羽田空港と東海道貨物線の東京貨物ターミナル駅近辺までを結ぶ完全新設の「アクセス新線」。それにつながる形で、東海道貨物線を中心に既存施設を利用しつつ3つのルートが建設されます。

3ルートの内訳は、当初から構想されていた東京上野ライン~田町~東海道貨物線~羽田空港の「東山手ルート」の他、埼京線(想定・中央本線直通構想もあり)~新宿・大崎・大井町~羽田空港の「西山手ルート」、京葉線(想定)~新木場~りんかい線~東京テレポート~(回送線経由)~東京貨物ターミナルの「臨海部ルート」。

ただし、このうち西山手ルートと臨海部ルートについてはアセスメントも含め予定は未定。現状具体的に進んでいるのは東山手ルートになります。こちらについては、うまくいけば29年頃に完成する可能性もあるそうです。

鉄道好きには待ち遠しい話ですが、羽田空港が絡むだけに事業効果にも大きな期待が寄せられており、かねてから東京都も優先的に整備すべき路線として位置付けています。後押しされるだけの要因が整っているだけに、一度ここまで動きだしたら、意外と早く、東海道貨物線を快走する上野東京ラインの列車の雄姿が見られるかもしれませんね。

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