ワークマンという店は大元が作業服店なだけに、
かつては店内の彩りもそんなにカラフルではなかった。
なにしろ仕事着だ。
職人さんという人種は私の周囲をみても派手好きが多いけれど、
そうはいっても派手にするにも限度がある。
それに、作業服というジャンルは、
目立つにしても色ではなく、スタイルで攻める部分が大きい。
だから、色的にはむしろスタンダードなものが多かった。
その点からいうと、ここ数年のワークマンはすっかり様変わりしている。
カジュアル路線が当たったせいか、
カラフルなアイテムの割合がかなり増えているのだ。
もちろん、増えたとは言っても全体から見ればそう大した割合ではない。
けれど、それだけでも店内のディスプレイの印象までがガラッと変わった。
個人的には、ワークマンという店のイメージで
一番大きな変化だと思っている。
そんなワークマンのカラフルアイテムだけれど、
単純に色合いの彩度が強く、デザイン自体はシンプルなものと、
デザインそのものが恐ろしく派手なものの
2系統に分かれるように思う。
今回紹介する
「FindOUT MOVE ACTIVE フリースフーディ」
は、その点でいうと、明らかに後者。
すさまじい派手さが目を引く柄物だ。
安価さとデザインで異彩を放つスポーツ系PB、Find Out
Find Outはスポーツやトレーニングウェアを想定したプライベートブランドで、
ワークマンの中でもかなりリーズナブルなアイテムが軒を連ねる。
現在のところ、おおかたのアイテムは1000円代、高いものでも2000円代だ。
ワークマンお得意の機能性も備えているけれど、
スポーツ用という目的から、
バイカー向けのPBなどに比べると
かなりライトな感じにまとめている印象がある。
そして、もう一つの特徴がかなり派手なデザインだ。
全部が全部ではないけれど、
ベーシックさからは少々離れた、
かなり異彩を放つデザインのアイテムが多いのだ。
他のPBが割とベーシックなデザインのものが多いだけに、
異彩を放っている。
前述した店のカラフルさは、かなりの割合を
Find Outが支えていると言っていい。
FindOUT MOVE ACTIVE フリースフーディの特徴と感想
他ではお目にかかれない!MoveActiveフリースフーディの強烈なデザイン
今回購入したフリースフーディも、そんなFind Outの一角を占めるアイテムで、2020年の春物。
他の衣料店と同じく、
ワークマンの場合も1月半ばには春物の入荷と入れ替えが始まる。
本来冬物を買い足そうとして出向いたのだけど、
店を出てきた時には買い物袋の中にはコレが入っていた。
もともと柄物は好きなタチなのだけど、
その私の目からしてもあまりの派手さで、
つい目を引かれてしまったからだ。
カラーラインは比較的おとなしいものと猛烈に派手なものまでそろえられているけれど、
いずれにせよ柄自体がインパクト抜群なので、着ているだけでも相当目立つ。
カテゴリー的にはファストファッションということになるのだろうけど、
一歩間違えたら毒々しくさえみえるデザインは、
他のチェーンではまずお目にかかれない。
それだけについ見過ごしてしまいがちだけれど、
実は色ごとに柄もこまかく分けられており、
何気に強いこだわりが感じられる。
素材と質感・見た目について
素材はポリエステル100%。
内側はフリースになっている。
春物だけにかなり薄手で、見ようによってはペラペラした印象さえあるけれど、
実際には思ったよりもカッチリした作り。
表面がツルツルした、わずかに光沢のある質感になっており、
ここは好みが分かれるところだと思う。
ただ、実際に着ていると、柄の印象の強さが先に立って
あまり気にはならないだろう。
で、そのデザインだけれど、かなりいい。
万人受けは絶対しないだろうけど、
色彩の派手さに反して
抽象的な柄は意外と服としての主張の押し出しが強くなく、使いやすい。
トータルの印象としても
デザインの趣味はよく、まとまっている。
やりすぎの一歩手前でギリギリ踏みとどまる
バランス感覚は卓抜したものといっていいと思う。
嗜好があわなければどうしようもないけれど、
そこさえ合えばたまらない一品になってくれるだろう。
着心地は最高だが、保温性には少々疑問符も…
さて、このフリースフーディ、デザイン以外にも、
ワークマンらしく機能面の売りもある。
軽い、柔らかい、保温性抜群、の3点。
このうち、軽い、柔らかいの2点については、
着てみればすぐわかる。
ほとんど重さを感じないレベルだし、
それでいて身体になじむ、ふわっとしたソフトさ。
着心地については満点といってもいいほどだ。
では、残る1点、保温性抜群という点に関してはどうか。
前述の通りこのフリースは内側がフリース地になっていて、
これで保温性を確保しているということなのだけれど、
実際のところ、これで保温性抜群とまで言えるのは、
かなり気温が上がってからの話だと思う。
元がスポーツ向けだからかもしれないが、少なくとも、アウトドアで使おうとすると
かなり温かい時期にならないと苦しいだろう。
確かに薄さと軽さを考えれば
この保温性を保っているだけでもすごいのだけれど、
逆に言えば保温性だけを単純に考えたら「そこそこ」くらいだ。
かといって、ある程度以上の気温になると、恐らく温かすぎる。
正直に言ってしまうが、機能面だけを見ると中途半端なのだ。
最近は春も短いから、
下手をすると活躍の時期はかなり短い可能性もある。
ワークマンの場合、なまじ冬ものが徹底的に
機能性が高いだけに、変に期待してしまうかもしれないけれど、
このフリースフーディに関しては、あまり機能面重視とは言えない。
もっとも、春物なのだから
冬物と比べること自体がフェアではないのだけれど。
デザインが主役のスタイルはワークマンの新境地か
色々重箱の隅をつついてしまったけれど、
わざわざ予定外の買い物をしたくらいだから、
わたし自身はこのフリースフーディ、かなり気に入っている。
むしろ、ほれ込んだと言ってもいい。
というのは、最初にも書いたけれど、
わたしがコレを買った理由は見た目のデザインに尽きるからだ。
機能面は最初から二の次。
あわよくば使えればいいな、程度だ。
柄物が好きな方はわかると思うけれど、
この手のアイテムというのは最初から実用性云々の話じゃない。
着ている自分がいかにいい気分になるかの、自己満足の世界であって、
性質としては限りなく趣味に近いものだ。
その点では、従来のワークマンの路線から言うとかなり異端のアイテムともいえる。
けど、これってファッション全体からいえば、別に珍しい路線でもない。
柄物の場合はちょっと特殊だけれど、
それでもデザインを最重要視するというあり方は、いたって普通だ。
ある意味「普通のファッション」にかなり近づいたといってもいい。
その点から言うと、こういうアイテムが出てきたというのは、
元来実用性一辺倒で通してきたワークマンという店の、
ひとつの新境地と言えるのかもしれない。