書評(フィクション・アート)(移)

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人はいかにして大人になるのか?夏目漱石『それから』

文学において、手を変え品を変え描かれるテーマのひとつが「ダメ人間の世界」だ。 経済的な部分か、内面的なものかはさておき、彼らの葛藤はそれだけでも様々なモノを読者の目前に提示してくれる。 ダメ人間と言ったけれど、こうしたキャラクター達の持つ要...
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まるで前衛小説!『占領都市』が描き出すカオス・ノワールとしての20世紀ニッポン

デヴィッド・ピース氏というと、ノワール小説作家としては独特の文体が特徴的ですが、もう一つ知られているのがその日本文学への入れ込みようです。 芥川龍之介をマイフェイバリットに挙げるってのも、国内作家ならともかく、海外作家としてはなかなか珍しい...
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ロマンティックすぎ!『はつ恋』が描く、美しい失恋

恋愛というのは半狂乱になることと極めて似ている。 自分では冷静なつもりでも、判断力は極端に低下しているし、ただただ焦燥感だけが募る。 ハッキリ言って、楽しいものじゃない。むしろ辛い。 うまくいくかどうか、また、それを行動にどのように表すかは...
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秘密基地の呪縛『恐るべき子供たち』

無秩序で社会性の欠片もない、子供たちの閉じた世界。 役に立たない秘密基地づくりのように、それは例え非生産的であろうと、快楽だ。 むしろ、あの心地よさは非生産的なんてことをそもそも知らなかったからこそしれない。 子供が生産性がどうたらと口走...
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美しき終局美学 太宰治『斜陽』

私事になるが、私は最初の就職で失敗した人間だ。 とはいっても、今時よくあるパターンのようにブラック企業だったというわけではない。 待遇面ではあまりよろしくない会社ではあったけれど、客観的に見て、それ以外の面ではむしろ相当恵まれた部類だったと...
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暴走する自意識 『地下室の手記』のヤバさとは

壊れてしまった人間を題材とした小説は、国内・海外を問わず数多くみられるけれど、その究極ともいえる作品がある。 それが、ドストエフスキーの『地下室の手記』だ。 『罪と罰』などの代表作に至る、作風の転換期に当たる作品と位置付けられている本作だけ...
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理屈では理解できない 『人間失格』というマイナスの雄叫び

「若い頃に読みたかった」と言われる文学は多い。 感受性が豊かな時期だけによりのめりこめただろう、という意味で。 確かに、自分を顧みても、これはその通りだ。若い頃に読んだ本というのは、そりゃ気に入ったものもあればハマれなかったものもあるけれど...
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万葉集の人間臭さを浮き彫りにするリアレンジ詩集『SONGS OF LIFE』

高校時代、私は古文という科目が苦手だった。 それ以上に、面白みが感じられなかった。 言葉の違いはとりあえず置いておくとして、それ以前に内容に魅力を感じなかったのだ。 今考えてみれば、学校で習う古文は、その知識を身につけるために都合がいい箇...
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か細い声ゆえのギリギリ感 太宰治『ヴィヨンの妻』

よく人生論として語られることのひとつに、「人生どん底からでもいくらでも這い上がれる」というものがある。 確かに、心の持ちようとしては、こうしたある種のお気楽さは非常に重要だ。 私個人の経験から言っても、こうした考え方ができないと、ドツボにハ...
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