コミック(トキワ荘の巨匠)

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『宇宙船製造法』にみる安定本能の怖さと行く末

よく自己啓発系で言われることとして、「人間は今いる環境を固定化しようとする本能がある」というのがあります。 それがいい環境であろうが悪い環境であろうが、本質的に人間は「変化すること」それ自体を嫌うというもの。 これは自分を振り返っても確か...
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システムへの全面依存 『箱舟はいっぱい』の恐怖感の根源

今回取り上げるのは、藤子・F・不二雄「箱舟はいっぱい」。 これも人類滅亡をテーマとしたものではあるのですが、そのテーマ以上に別の面で妙にリアルな恐怖感を感じる作品です。 破綻なきカタストロフストーリー『箱舟はいっぱい』あらすじ 主人公は、妻...
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実感に訴える実験作品 『ある日…』にみる脈絡のなさというリアル

私はまだ生まれていなかったころだけれど、70年代の漫画界のムーブメントのひとつに劇画ブームがあります。 あくまでも子供向けのものに過ぎなかった漫画が大人向けになり、当時の漫画家の先生方は押しなべていかにそちらにシフトするかの思考錯誤を余儀な...
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経済合理性への虚脱感 『何もしない課』がマシに見える世界で

20世紀と21世紀の労働環境において一番大きく変わったことといえば、リストラや雇用の抑制が「当たり前」になったことではないでしょうか。 もちろん、それまでもリストラがなかったわけではないし、それどころかそれ以上にひどい労働問題だっていくらで...
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ナンセンス作家としての藤子・Fの真価を『倍速』に見た

SF作品を軸にして藤子・F・不二雄氏の作品を語ろうとすると、どうしてもそのシニカルさや先見性といった、言ってしまえばちょっと高尚な感じの切り口になりがちです。 実際、それだけクオリティが高いってことではあるんですけど、忘れてはならないのは藤...
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庶民は正義を使いこなせない『ウルトラスーパーデラックスマン』

正義とは何か。 仮にこの問いを投げかけた時、スラスラと回答できる奴がもしいるとしたら、わたしはそいつを金輪際信用しないでしょう。 そんな単純に割り切れるようなものなら、この世の問題はもう少しカンタンに片付いているだろうし。 まして、特定の人...
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絶対強者としての人間の鏡面 サバイバルSF『絶滅の島』の黒すぎるオチとは

物語のオチの付け方のひとつに、ありえない真相で締めるという方法があります。 「え…そうくるの…」という読者があっけに取られてしまうような「実は…」を明かすことで、度肝を抜く方法。 オチに作品評価の全てを依存するだけに、感想も真っ二つに割れが...
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藤子コンビの描く個性派サラリーマンヒーロー2選

藤子FやA氏は子供~少年向けの作品が有名なために、主人公に関してもその年代が据えられている作品がどうしても目立ちますが、その一方で、サラリーマンを主役に据えた作品も少なくありません。 未読の方でもなんとなく予想はつくでしょうが、2人の作風を...
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金が人を歪めるという身も蓋もない現実『自分会議』

大人と子供の違いで一番大きなものと言えば、何と言っても「金」の捉え方だと思う。 そりゃそうだ。子供と違って、大人にとっては生活の糧ですからね。 こう率直に書いてしまうと「それだけじゃない!」という意見もあるだろうし、実際確かにそうなのだけれ...
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モラルなんて世間次第 藤子Fがえぐり出す常識の不安定さ

常識なんて、しょせん社会の決め事に過ぎない。 その個々の社会が何を重視するかによって、常識の基準は簡単に入れ替わってしまう。 それは、現実の世界を見てもわかる通りですが、SF作品では現実よりもさらにドラスティックな転換が行われます。 もと...
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