AphexTwinの夢うつつな世界

こんにちは、雪月堂です。
昨日に続けてアンビエントテクノの話を。

 

このジャンルに該当する作品はかなり幅広いですが、有名なところでは
AphexTwin(エイフェックス・ツイン)の『Selected Ambient Works Volume 2』
が挙げられます。
わざわざ作品名まで書いているのは、作品ごとにジャンル自体がかなり異なっているためです。
テクノの場合、同じアーティストが様々なジャンルにまたがって作品を作るのが普通なので、
このアーティストは●●系の人という分類が意味をなさないのです。

 

で、この『Selected Ambient Works Volume 2』、
CD2枚組でめいっぱい詰め込まれた大ボリュームの作品なのですが、
その全てが、作者が夢の中で見たものをそのまま音として表現したという代物です。

言葉にするとなかなかすごそうですが、これが全く誇大表現ではないのがさらにすごい。
浮世離れと言っても、幻想的と言っても言葉足らずになってしまう、不思議な音世界が展開されます。
敢えていうなら「夢うつつ」とでも言うしかないです。

何か変にリアルな夢を見て起きた後、夢の中の世界のことを思い出してみると、
実感がなくてつかみどころがないのに、何故かそこに自分の感情を投影してしまうような、そんな感じ。
湿りけがあるのかないのか、感傷的なのかドライなのかすら判別しかねる、ボンヤリした世界ですが、
そんなぼやけた輪郭の中に、確かに何らかの感情を感じるのです。AphexTwinは他にも様々な別名義で相当数の作品をリリースしていますが、ここまで振り切った方向性の作品はこれだけです。他に牧歌的な作品もないわけではないんですが、これはもう牧歌的とか、そういうレベルではないですから。

 

そういう作品ですので、単純にゆったりするというわけでもありません。
どちらかというと、先に述べた作品イメージ通り、夢うつつの状態でダラーっとしているようなイメージで、
けだるさといったほうがいいかもしれない後味です。
人によってはただ退屈なだけと感じるかもしれませんし、
場合によってはむしろ嫌悪感を感じるかもしれません。

そういう意味では、万人にお薦めという訳にはいかないのですが、
合う人にはそれこそガツーン!とくるはずです。
いわゆる妙に健康的なヒーリング系が苦手な方は、一度聞いてみる価値のある名盤です。

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