もともと豪雪地帯に住んでいる方からすれば、「雪景色がみたーい」などとほざく人種は理解不能なのでしょうが、それほど雪の降らない地域で育った人間からすれば、やはり雪景色と言うのは一種独特の魅力があるものです。筆者などはまさにその典型パターンで、北海道出身の友人などからよくお叱りを受けるわけですが。
大雪を見るためのキホン「北に進め」
さて、ローカル線の車窓に映る雪景色を楽しみたいという場合ですが、一言でいえば「北に進め」ということになります。こればかりは天気次第なので、東北や北海道に行っても必ず望み通りの雪景色が拝めるとは限りませんが、それでも確実に確率は上がります。
雪景色と言えば、一押しはやはり北海道
特に北海道の道央以北までいけばまず間違いなくかなりの根雪が積もっていますから、たとえ当日は雪が降っていなかったとしてもそれなりの真っ白い景色は楽しめるはずです(念のためですが、初雪から間もない時期だともちろんその限りではありません)。筆者の感覚だと、12月半ば以降の道央以北であれば、札幌などの都心部は別として、郊外の車窓については高確率で真っ白な風景になっていることでしょう。
ちなみに、雪景色と言うと北海道というイメージがあると思いますが、函館などの道南エリアなどだと冬真っ盛りでも意外に積もっていないことも多かったりします(むしろ青森の方が積もっていたりもする)。ただ、その分降り始めた時のインパクトはでかい。風景そのものが日本離れしたスケールの大きさなこともあって、雪との取り合わせの風景は強烈に心に残ることと思います。
南東北や関東至近での雪景色路線
北海道や北東北まで行く余裕がない場合、比較的手近なところで探すことになります。この場合、雪景色の確率は下がってしまうものの、豪雪地帯を狙っていけばそれなりの割合で満足できる景観が拝めるでしょう。
筆者の経験から一つ例を挙げると、東日本では福島駅から奥羽本線で山形方面に向かうルート(通称:山形線)は結構オススメです。山形県は豪雪地帯で有名なだけあって、福島県側とはかなり気候がことなります。その上、山越え区間なため、かなり雪の可能性は高いです。福島ではまるで降っていなかったにも関わらず、列車で県境を越えた途端にあっさり大雪になることも珍しくありません。ネックは普通列車の本数の少なさでしょう(山形新幹線に乗ってしまえば解決する問題ですが)。
これと似たパターンが、上越線の群馬・新潟県境越え区間。かの有名な川端康成の「トンネルをぬけると雪国であった」という書き出しはこの区間をモデルとしたもので、冬場に乗ってみるとまさにこの名文を地で行く変化が目前に現れます。巨匠を頭に描きながら文芸マニア気分につかの間浸るのも、なかなかオツなものですよ。
雪景色の穴場・高地路線
雪景色を見るなら、どこまで行くかは別として、基本は北国です。ただ、例外として、高地を走るローカル線を目指してみるのも手です。
この手の路線の代表格が、山岳路線の記事でも挙げた木次線。広島県・島根県という西日本エリアを走ることもあってあまりそういうイメージがありませんが、実はこの一帯では屈指の大雪路線なのです。これはJR西日本管内では最高地点を走る路線ということも影響しており、実際、沿線にはスキー場なども普通に存在します。
ただ、木次線の場合問題なのが、大雪が降ると早々に運休になってしまうということ。北海道や東北なら割と復旧することも多いですが、木次線の場合、一度止まったらそのまま冬の間中運休です。ここ数年を見る限り、冬季はほとんどの期間で代替輸送になってしまっていますから、チャンスはかなり限られていると言っていいでしょう。
念のため警告。雪を甘く見てはいけない
ここまで全体的にお気楽なノリで書いてきましたが、言うまでもなく雪景色を楽しむというのは、優雅な反面危険を伴います。また、木次線ほど顕著でなくても、列車が運休になって計画変更となる可能性は十分すぎるほど考えられます。
交通機関が止まったときのための日程の余裕と予備プラン(特に北海道だと空の便も止まって身動きが取れなくなる恐れがある)の用意は必須。その上で、足元の滑り対策・防寒対策・スケジュールなど、あらゆる面に十分配慮した上で出かけることをお薦めします。雪国の人の言葉ではありませんが、くれぐれも雪を甘く見て無謀な真似をしないように。