陸羽東線の車窓の見どころとポイント イメージとのギャップに注意!

東北地方を東西に横切る、いわゆる「肋骨路線」のひとつ、陸羽東線。
リゾート列車が頻繁に運行されることでも知られており、絶景路線として認識されている方が多いでしょう。
この認識、決して間違ってはいないのですが、少々注釈が必要です。
乗ってから「あれ?」と思わないためにも、以下の内容を押さえておいてください。

陸羽東線のポイントまとめ

最初にこの路線のポイントをまとめてしまいます。

絶景区間が全線にわたって続く、という路線ではなく、あくまでピンポイント。もちろん景色そのものはいいが、むしろ山里の風景や温泉街の風情を「じっくり」楽しむ方がメインとなる。

もちろん、「絶景」をどの程度のものと考えるかによって変わってきますが、
一般的には「強いインパクトのある名所」と考える方が大多数でしょう。
そして、この観点からいうなら、陸羽東線の絶景は限られた区間に限定されるのです。

陸羽東線最大の絶景ポイント、鳴子峡(ただし一瞬)

この路線における「絶景」として間違いなく挙げられるスポットが鳴子峡です。
奇岩が林立する断崖絶壁の峡谷で、秋には紅葉の一大名所としてごった返します。
陸羽東線の車窓からはちょうど断崖絶壁を見下ろす形になり、その様は一目見たら目に焼き付くインパクトがあります。

…と、こういう言い方をすると、鳴子峡をそれなりの時間、楽しめるのかと思いますよね?
ところが、その予想に反して、この区間はほとんど一瞬で通過してしまうのです。

紅葉の時期には徐行もあり

紅葉の時期には徐行運転の便もある(2016年の場合10月22日~11月6日まで実施)のですが、それでもごく短時間。
鳴子峡があまりに有名なためについ誤解しやすいのですが、下手をするといつ通り過ぎたのかすらわからない恐れさえあります。鳴子郷に差し掛かる前後の区間は鬱蒼とした森が続いているため、なおさらです。

ただ、前述のとおりインパクトは抜群なので、見落とすのはあまりに勿体ないです。

鳴子郷は駅間でいうとどの辺?お勧めの席は?

具体的な区間は、中山郷温泉駅と鳴子温泉駅の中間部。新庄方面に向かう場合は、
鳴子温泉駅を出発後、鳴子トンネルを抜けてすぐのところです。
この区間に差し掛かったら、あらかじめ窓に張り付いておきましょう。

一応どちら側の席からも見られますが、北側(新庄方面行なら進行方向右側、小牛田方面行なら進行方向左側)の席の方が景色がいいです。
ただし、路線全体を通して言うと、南側の席の方が開けた景色が多めなため、悩みどころかもしれません。

なお、言うまでもありませんが、鳴子峡をじっくり味わうのであれば、できれば一旦下車するに越したことはありません。
冬季は遊歩道やレストハウスが閉鎖になってしまいますが、それ以外の時期の場合は一考の価値ありです。

 

飽きがこない!陸羽東線の沿線風景の見どころ

このように、インパクトという点だけに期待して乗ると、陸羽東線はイマイチ地味に感じてしまう可能性があります。
ただ、一方で、山里などの風情に期待して乗るのであれば、かなりハイレベルです。

・東北本線との分岐後しばらく続く、広大な農村風景
・川渡温泉駅以降、連続する温泉街
・鳴子温泉駅以降ひたすら続く山々と、点在する山里の風景

といった感じで、派手さこそ少ないものの、景色のバリエーションは豊富で、見るものを飽きさせません。
のんびりと地方の風情を味わうにはもってこいなのです。

特に、多くの便で乗換となる鳴子温泉駅周辺には、硫黄の香りが濃厚に漂っており、
ドアが開いたとたんに車内に温泉の空気が流れ込んできます。
好き嫌いのある香りでしょうが、これを嗅ぐだけでも旅好きなら気分が盛り上がってくるでしょう。

紅葉と雪景色も名物!ただし冬季の運休には注意

季節的な見どころについても触れておくと、さすがに名所である鳴子峡にはおよばないものの、山里区間の秋の紅葉は、目を楽しませてくれること必至です。
また、鳴子温泉駅以西の新庄側は冬季はかなりの大雪となりますので、雪景色を楽しみたい方にもおすすめ。
ただし、その分運休や遅延のリスクも増してきますので、この時期に行くなら計画変更の可能性も想定しておいた方が無難です。

 

乗り潰しにも便利な臨時快速「リゾートみのり」の存在

乗車に当たっては、他のローカル線と同様、本数がそれほど多くないことがネックです。途中で長時間の足止めを食らうことも少なくありません。

ただ、陸羽東線に関しては、臨時快速の「リゾートみのり」が運行されていることで、乗り潰し目的にせよ景観目的にせよだいぶ乗りやすくなっています。

こちらは運行10周年を超えるJR東日本のリゾート列車のひとつで、小牛田~新庄間を2時間半ほどで走破します。概ね土休日に運行されており、1日1往復。便自体は限られるとはいえ、運行日が安定しているのが嬉しい所。意識して計画に組み込みさえすれば、利用できる局面は多いでしょう。この列車があるため、途中下車なしの乗り潰し目的なら、思った以上にあっさりと走破できてしまいます。

もちろん、スピードだけがリゾートみのりの魅力ではありません。専用の特別車両はリゾートと銘打つだけあって高級感もあるうえ、快速なので18きっぷでも乗車できます。全席指定なので、別途指定券(510円)が必要ですが、車両の雰囲気だけでも普通列車とは大違い。それだけでも510円を払う価値は十分すぎるほどです。

 

陸羽東線は「いぶし銀」の魅力のある路線だ

以上、かなりネガティブなことも書いてしまいましたが、筆者としてはかなり気に入っている路線のひとつです。
乗る側の求めるもの次第でかなり印象が変わってしまう路線ですが、穏やかな風情に身をゆだねたい時にはぜひ乗ってみて下さい。
いぶし銀の魅力で、その期待にバッチリ応えてくれることでしょう。

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