ローカル線と聞くと、豊かな自然といったイメージを持つ人も多いでしょう。
実際には必ずしもそうとは限らないのですが(むしろ工場などが目立つ線もありますし)、それでも全国を見渡せば、絶景路線はそこかしこに存在しています。
絶景といっても、どういう景色を見たいかは人それぞれでしょう。
このページでは、その中でも海景色を楽しめるという観点から、いくつか有名どころの路線をピックアップしてご紹介します。
日本海の荒海を味わう超有名路線・五能線
まず、この手のトピックではほぼ間違いなく挙げられるのが五能線。青森・秋田の一ローカル線、しかもかなり大回りなルートをたどるにも関わらず、その人気は鉄板です。海沿いの絶景路線と言う意味ではトップクラスに有名なのではないでしょうか。もちろん全線海沿いというわけではないものの、かなり海区間の割合は長い部類に入ります。
何より日本海の荒海という言葉をそのまま表したかのような車窓のインパクトが凄い。山陰本線など、日本海沿岸を走る路線は多かれ少なかれそうした車窓が魅力ですが、五能線のそれは突出しています。見方によっては寒々しい景色ではありますが一種の様式美です。
普通に乗ろうとすると、凄まじい時間を要する路線ですが、JR東お得意のリゾート快速が運転されているため、思ったよりも乗りやすいはずです。
西日本の海景色路線の代表格2つ
西日本にも目を向けると、その代表格が呉線です。こちらは山陽本線から分岐し、海沿いに大回りする路線ですが、その分瀬戸内海の穏やかな海景色が存分に堪能できます。
こちらは五能線とは違い、本数はそれなりにありますので、普通列車でもさほど苦労なく乗れるでしょう。同じローカル線ではありますが、景色の味わいも含め、あらゆる意味で五能線とは対照的な路線とも言えます。
もうひとつ、普通の海景色とはかなり意味合いが違ってきますが、西日本の海景色で絶対に外せないのが瀬戸大橋線です(正式名称は本四備讃線)。文字通り、瀬戸大橋の上を通って本州・四国を結ぶ路線です。
ハッキリ言って、海景色というテーマでこの路線を取り上げるのはかなりの反則ではあります。なにしろ海峡を見下ろしながら渡るわけで、他の海景色路線とは全く毛色も意味合いも違いますから。ただ、他に類を見ない路線であることは間違いありません。景色以前にこのレベルの大橋を渡るという発想自体がけた外れですから、インパクトは抜群です。
もちろん、毛色が違うとはいえ、景色そのものも必見ものなのは言うまでもありません。
橋の上から見下ろす景色はまさに上空からの俯瞰というべきもので、海・行きかう船、そして点在する島々が絶妙なコントラストを作り出しています。初見の方は、なによりもこれを人間が作り出したというところにまず驚愕させられるのではないでしょうか。
海景色の割合は少ないが幹線も見逃せない
そのほか、幹線にも目を向けると、紀勢本線・山陰本線といった大御所もあります。これらは距離が長い分、全体の割合からすると海景色の割合はそこまで多いわけではないですが、それでもかなりのボリュームと景観。いずれもかなりグッとくる景色を味わえます。
また、区間はごく限られますが、函館本線や山陽本線といった幹線の海景色もなかなかのものです。これら2路線については、かなり穏やかなテイストです。
他にも海景色を楽しめる路線はたくさんありますが、代表格としてはこんなところでしょうか。
補記:海景色を期待すると外しかねない路線
なお、最後に補記として、逆に海景色を期待するとちょっと外してしまうかもな、という路線について述べておきましょう。こうした路線でのパターンはだいたい決まっていて「路線図で見ると海沿いのように描かれているが、実際にはかなり内陸よりを走る路線」です。
この典型例が、千葉県にある外房線。房総半島の外海側を走っており、路線図を見る限りではいかにも海沿いを走りそうな印象を受けます。ところがこの路線、実際にはかなり内陸に寄ったところを走っているため、直接的に海が見える区間は安房鴨川~館山のあたりのほんのわずかのみです。もちろん、海だけが鉄道の魅力というわけではないのですが、海景色だけに期待して乗るには少々苦しいかな、という気がします。
ただ、そこを別にすれば、首都圏で手軽に日帰りで旅行気分を味わうには、なかなか悪くない路線であることは念のためお断りしておきたいと思います。