水木しげるづくし!境線の鬼太郎列車とは?

『ゲゲゲの鬼太郎』などで有名な大御所漫画家・水木しげる氏。
圧倒的な書き込みの細やかさに魅了された方は多いのではないでしょうか。

そんな水木氏の出生地、鳥取県境港へのアクセス路線が、ここでご紹介する境線です。

 

漫画のキャラクターで一点突破した路線の草分け・境線

境線は島根県の米子駅から鳥取の境港駅までを結ぶ近郊路線で、本数的には1時間1本前後のペース(平日は時間帯によってもう少し多めになります)を確保しています。
所要時間も便によってブレはあるものの概ね片道45分前後。盲腸線なので往復が面倒くさいという欠点はありますが、ローカル線としてはかなり気軽に乗れる部類です。

総じて地元の生活路線、あるいは米子空港や境港からのアクセス路線としての色が濃く、車窓的にも住宅街の中を走っていきます。少なくとも、ダイナミックな車窓などを期待して乗るような路線ではありません。そう考えると話題性は薄いようにも思えるのですが、その割には雑誌などで取り上げられることはやたら多い路線です。

その理由は、独特の車体そのもの。
境線は、列車の多くが「鬼太郎列車」として運行されているのです。今でこそ漫画のキャラクターのペイントは割とよく見かけますが、その草分けと言っていいでしょう。

キャラクターで埋め尽くす徹底ぶりが凄い!

鬼太郎列車は、車体のペイントはもちろん、天井から座席まで全て鬼太郎関連のキャラクターで埋め尽くされているのが特徴。水木氏独特の荒々しい、けれど繊細な描画が躍るその外見は、駅のホームでは相当の異彩を放っています。さらに車内アナウンスも鬼太郎・猫娘の声優が担当しており、徹底ぶりがすごいです。
また、乗るまでにも米子駅のあちこちに鬼太郎がらみのオブジェが設置されていますので、鬼太郎好きなら垂涎ものでしょう。

ただ、逆に言えば、鬼太郎関連に思い入れがない方にとっては、この徹底ぶりが逆に鼻につくかもしれません。特に車内アナウンスは…この路線に限ったことではないのですが、声優さんによるアナウンスというのは良くも悪くもアクが強くなりがちです。特に境線の場合「鬼太郎・猫娘としてのアナウンス」を求めているんですから、なおさら。受け付けない場合、正直辛いと思います。

ただ、いずれにせよ、ここまでの徹底ぶりは、素直にすごいと言わざるを得ません。力の入り方が違います。

どのキャラクターに当たるかは運任せ

列車のペイントは
「鬼太郎」・「ねずみ男」・「ねこ娘」・「目玉おやじ」・「こなきじじい」・ 「砂かけばばあ)」の各バージョンがあります。残念ながら使われる時間帯は固定されていないため、狙って乗ることは不可能ですが、逆に運任せ的な楽しみもあります。
また、一部の列車では一般の車両が使用されていますので、鬼太郎列車に乗りたい方、逆に一般車両が好きな方とも、あらかじめチェックしておくべきです。

鬼太郎だらけの漁港町、境港で新鮮魚介を食す

列車のインパクトもさることながら、境港につくと、そこらじゅう鬼太郎だらけ。
市内にはミュージアムなどもあり、まさに水木しげるによる町おこしといった感じですが、漁港だけに魚介類を扱うお店も多いのが特徴です。

境線は折り返しまでの時間がわずかなので、乗り潰しだけが目的の場合は速攻で引き返すことになります。ただ、本数はあるので、時間に余裕があれば一便遅らせて山陰の魚介に舌鼓を打ちたいものです。

駅から東方面に道なりに進むと水木しげる記念館があります。ファンは当然マストとして、そこまでの通り沿いには海鮮丼で有名な「和泉」や「みずき屋」といったお店が点在しており、お腹を満たすという意味でも見事な充実ぶりです。

ただ、そこまで出向く余裕がない場合には、駅の隣にある「みなとさかい交流館」に地元拠点の回転寿司屋「大漁丸」が入っています。境港直送がウリで、値段もリーズナブルなので、手軽にサクッと味わいたいときにはかなり使えるかと。

短いながらも様々な楽しみ方ができる「町おこし路線」

境線とその沿線の印象を一言で言うと、コンセプトと地元の名産品に徹底的に拘ったテーマパーク、といった感じです。最初に書いたように、ハッキリ言って車窓は記憶に残るようなものではありません。その代わり、どっぷりと水木しげるのキャラ達に浸り、新鮮な海産物をたらふく口に放り込む。それらの要素がまとめて、境線の短い往復の行程の中に詰め込まれています。

水木しげるファンはもちろんですが、ユニークな列車に乗りたい鉄道ファン、お寿司などが好きな方は、寄り道してみる価値ありますよ。

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