勉強しているのに、テストとなるとまったく歯が立たない。
受験生がやる気を失う典型パターンです。
こうした状況に陥った場合、まず第一に確認してみるべきことがあります。
それは、「今の」実力相応の勉強をしているか、ということです。
受験勉強は積み上げ型
今のご時世、街の本屋に行くだけでもいろんな勉強法や暗記法を目にすることができるでしょう。目移りしてしまうほどに。
ただ、少なくとも大学受験や高校受験の場合、どんな勉強法をとるにしても、共通して言えることがあります。
それは「積み上げ型」だということ。
まず基本の土台があって、それが出来て初めて次の段階に進めるということです。
具体的に言うなら、例えば中1レベルの内容が充分身についていないのなら、中2レベルの問題は解けないのです。
仮に解けても、それはただの運だと思った方がいいでしょう。
そしてより重要なのは、これはただテストだけに限らず、毎日の勉強の成果にも言えるという事です。
先ほどの例でいえば、中1レベルの知識がしっかりしていないのなら、無理矢理中2レベルの内容をやったところで、理解するのは難しいのです。
仮に理解できたとしても、土台がぐらぐらしている状態ですからすぐにボロが出ます。
熱心であればあるほど陥りがちな「勉強しても結果が出ない」
自分の中高生時代を振りかえっても、勉強しているにも関わらず成果が出ないという場合、だいたいこのパターンに陥っていることが多いです。
学校や一般的な塾というのはシステム上、どうしても全体の進度が優先になります。
だから熱心な生徒であればあるほどなんとかついていこうとするわけですが、ここが落とし穴。
全体の進度を優先しているということは、逆に個別の生徒の理解度までは考えていないのです。
もちろん、たまたま理解できていれば何の問題もないのですが、それなら勉強量相応の成果は出ているはず。
それがでていない時点で、どこかが抜け落ちていることを前提に考えた方がいいでしょう。
勉強の結果が出ないなら、わかる所からやり直せばいいだけ
では、それを前提として、どう対処するかですが、話としては非常にカンタンです。
どこかで理解できていないなら、理解できているところまで戻ればいい。
この「理解できているところ」の見極め方ですが、わかっていない加減によって2つの方法があります。
全体的にわからない、どこがわからないのかがわからない場合
この場合、以前の学年で学ぶべき知識が、どこかの学年の時点で丸ごと抜け落ちていることが多いです。
したがって、「どこの学年の時点でついていけなくなったのか」を見極めることになります。
この場合自分よりも前の学年の教科書なりをさらっとでいいので目を通していきます。
ここで注意点は、変に凝った参考書などを選ばないこと。あくまでも目を通すのは教科書でいいです。
参考書というのはプラスアルファの知識まで網羅しているので、効率よく勉強するには適しているのですが、それは前提となる土台があってこその話。
どこがわからないのかを見極めるには、分量が多すぎるのです。
その点、教科書は学年ごとに身につけるべき基本だけに絞っているので、見極めるにはうってつけです。
とはいえ、今現在テストで成果が出ていないとなると、いくら教科書レベルでも直近の学年のものなどはほとんど理解できないかもしれません。
でも、ここで重要なのは落胆しないこと。
パラパラ目をとおしてさっぱりわからないような場合は、さらに前の学年までさかのぼっていきます。
さかのぼると言いましたが、基礎ができていないという自覚があるなら、むしろ最初から初歩の初歩の学年のものから目を通しても構いません。
そうすることで、自分がどのあたりから理解できなくなっているのかを大まかでいいので掴みます。
そして、大体掴めたら、概ね理解できているあたりの学年の問題集から勉強を始めるわけです。
いわゆる「やり直し」勉強法というわけです。
手間はかかりますが、結局これが結果的には一番早いことが多いです。
それに、そこまでさかのぼればある程度はテンポよく覚えていけますから、無理に自分の学年の問題集を解こうとするよりも達成感もあります。
一冊の教科書を愚直にやり通せ
もちろんわかっていない箇所を正確につかむのは難しいです。
だいたいこうした場合、ひとつの学年の知識の中でも一部がツギハギ、ということが多いですから。
だから、ここからやり直すと目星をつけたら、まずその学年向けの教科書を愚直に一冊やりとおすことです。
そして、もし理解できない箇所が出てきたら、その都度確認して着実に身につけていくこと。
先に概ね理解できている学年のものから始めると書きましたが、これは単純に、わかっていない箇所が出てくる頻度が少ないためです。
一つ一つ調べなおすのは、ハッキリ言ってかなりうっとおしい作業ですから、中途半端な知識しかない学年のものから手を付けてしまうと、いつまでたっても一冊が終わらないということになってしまいます。
その点、ある程度理解できている学年のものなら、スピード的にも心理的にもあまり抵抗感を感じずやり通せるはずです。
特定の分野の知識量が決定的に弱い場合
もうひとつのパターンは、基礎のパターンは頭に入っているけれど、特定の分野の知識が単純にないことが自覚できているパターン。
たとえば英語で言えば、基本的な文型や文法は頭に入っているけれど、英単語の語彙が致命的に少ないような場合です。
この場合は、対処法は言うまでもありません。
弱い分野を徹底的に潰す。これだけです。
全体的にわからないという人よりは、目標がわかっている分、シンプルに手を付けられるのがメリットです。
ただ、このパターンの注意点としては、弱点の見立てが間違っていることがあること。
もし本当に特定の分野だけが弱いのであれば、その弱点さえ潰せば、一気に成績が伸びるはずです。
そうならなかった場合、もう一度弱点の見立てからやり直すことになってしまいます。
もし自分の見立てに自信がないなら、最初から先に述べた、前の学年のものをさかのぼるやり方でやった方がまだマシかと思います。
自分がわかっていないことを認める。話はそれからだ
いずれのやり方を取るにしても、大事なのは「自分がわかっていないことを認めること」。
こと勉強に関しては、見栄を張ってもロクなことはありません。
今の自分に何の知識が足りていないのか、それを見極めて動くことです。
この考え方は、実は将来の仕事でも同じことです。
自分に何が足りないのか、どうすればこなせるようになるのかを考えて動く。
受験というのはその後使わない知識も多いのは事実で、そこだけみれば無駄とも思えますが、実はこの考え方のスタイルを身につけるという点ではそれなり以上の意味はあると言えるかもしれません。