レインボーラムネの価格にみるやるせない現状と次善策の考察

「レインボーラムネ」をご存知でしょうか。その名前の通りラムネ菓子のひとつなのですが、ちょっとわけありのラムネなのです。その「わけあり」の部分に、少し割り切れないものを感じてしまわざるを得ない…そんなラムネについて、この記事では過去と現在の状況を分析するとともにわたし自身の考察をつらつら述べていきたいと思います。

レインボーラムネとは?

レインボーラムネは、奈良県生駒市にあるイコマ製菓が製造しているラムネです。大きさは普通のラムネを想像するとすこし驚いてしまう大粒で、直径にしてなんと20mm前後。ラムネとしては通常ありえない大きさですが、見た感じでは鈴っぽい、かわいらしい外見をしています。もちろん色はカラフルで、子供のころを思い出してなんとなく楽しい気分になってきます。

味については古き良きラムネと言う感じですが、後味がとてもいいとのこと。品質のよさを伺わせてくれます。

と、ここまで語った通り、確かに大きさの面では突出しているものの、決して革命的とか衝撃的とかいった文脈で語られるような商品ではなく、ごくごく横道なものを、ごくごく地道にまっとうに作り上げたという感じのする品です。

抽選待ち!レインボーラムネの入手難度

ところが、このレインボーラムネの普通でない点は、その入手難度です。

もともとイコマ製菓は決して大手企業ではなく、製造に割ける人員も決して多いわけではありません。どちらかというと、古き良き家内制手工業に近い。つまり、もともと大量生産品ではなく、生産量が少なかったわけですが、かつては「知る人ぞ知る」という程度の知名度でしたからそれでも問題ありませんでした。

ところが、そこにテレビなどで紹介されたことによる評判買いが起こります。この影響が加わったせいでしょうが、年数回の予約制というシステムが採用されます。それも、「抽選の予約」です。

つまり、予約したとしても、運よく当たらない限りは手に入らないという仕組みなのです。

レインボーラムネオークションのとんでもない値段とその変化

さて、このレインボーラムネ、公式にはもちろんイコマ製菓さんから直接買うのが唯一のルートなのですが、何しろ、前述のとおり抽選制というハードルは非常に高い。そのため、転売目的で買われたと思われる品がオークションなどに流れていたりします。

見て驚くのはその値段。オークションの性質上仕方ないとはいえ、つりあがりにつりあがった結果、お菓子としてはとんでもない値段になっています。とはいえ、これでもかつてに比べれば下がっている方というのが恐ろしい所です。

2014年当時の転売価格のあり得なさ

では、かつてはどうだったのかというと、2014年前後のころは3000円代という、ラムネにしてはありえない値段でした。なにしろ、元の定価は500円ですので、この段階で6倍前後の値がついていたことになります。

この頃は締切間近のものなどは一万円近くになっていたりもしたので、出品者が非常に大きい利益が見込める商品だったのは間違いないでしょう。

出品の価格は下落傾向

ただ、前述したようにオークションでの相場はかなり下がってきています。2020年現在、見つけた範囲でのものになりますが、400gの袋入り一つが1800円前後。

ただし、賞味期限がかなり近くなっているものもありましたので、もし検討するなら十分に確認して下さい。また、言わずもがなですが、オークションという性質上、信頼のおける取引相手かは十分に見極めてからの取引をお勧めします。

なぜここまで相場が下落したのかというと、これにはいくつか、考えられる理由があります。

2020年現在、公式ルートはふるさと納税品のみに

先述の通り、レインボーラムネは抽選日は日取りが近づくと公式サイトで発表する形式が基本です。ところが、2020年現在、このシステム自体がかなり変化しているのです。

本記事執筆時点で、公式サイトの抽選は全面的に中止されており、公式認定の販売ルートは生駒市のふるさと納税の返礼品としてのみとなっています。

こちらは、現時点では在庫もあり、安定して手に入れることが可能なため、どうしても食べてみたかったという方には朗報でしょう。おそらく、オークションの価格の下落も、この「安定供給」は理由の一つだと思います。そりゃそうです。希少性がだいぶ薄れますから。

ただし、こちらはふるさと納税という性質上、決して安価とは言い難いです。もちろん事情はわかるのですが、正直、「お菓子」として考えると首をかしげざるを得ない価格設定なのも事実で、これではかえって踏み切れなくなったという方も少なくないでしょう。

抽選制は完全に廃止されたというわけではないようなので、ここまでは出せないという方は、折をみて公式のお知らせをチェックしておくことをお勧めします。

味覚糖共同開発の姉妹品『レインボーラムネミニ』が登場

さて、現状では、本家レインボーラムネは公式にせよ、オークションにせよそれなりの対価が必要ということになります。抽選制が再開されたとしても、それはそれでまた希少になるだけですし。

ただ、この状況に一石を投じる商品が、実は既に登場しています。そして、おそらくですが、オークション価格の下落は、ふるさと納税品以上にこちらが最大の理由ではないかと思われます。

レインボーラムネミニで実現した「いつでもどこでも手軽に買える」

それが、UHA味覚糖とイコマ製菓の共同開発による姉妹品『レインボーラムネミニ』です。名前の通りひとつひとつのサイズこそ本家より小ぶりなものの、それでいてイコマ製菓の社長が納得するまで、口どけなどに拘り続けたという一品です。

この商品の登場による影響としては、地域限定とはいえその辺の一般のお店で買える販売ルートが成立したという点。さらに、味覚糖公式では通販もしているため、「買いたいと思えばいつでも買える」状態になったという点です。

純粋に「味」を楽しむならこちらでも十分では?

もっとも、前述のとおりサイズは小さいですし、一袋あたりの量も少なめなため、本家の豪快な大きさや量を楽しみたい方だとメリットは少ないかもしれません。何より、レインボーラムネの場合、希少性ゆえのプレミア感に惹かれた方が多いでしょうから、その点にこだわってしまうなら物足りないのも確かです。

ただ、純粋にお菓子として、一度どんな味わいか試してみたいというのであれば、本家の社長のお墨付きですから十分納得がいくでしょう。また、サイズも本家よりは小さいとはいえ、10mm以上ありますから、通常のラムネと比べれば大ぶり。容量の問題にしても、その分値段もリーズナブルなので、コストパフォーマンス面でのバランスは、今現在可能な他の入手方法に比べれば良好です。

現状でレインボーラムネの「味」をもっとも手軽に味わうなら、こちらが一番手っ取り早い方法でしょう。

「駄菓子」としての健全なポジションとは

正直な所、現状の本家レインボーラムネを取り巻く状況は、決して健全とは言いがたいものです。いかに珍しいものとはいえ、お菓子ひとつがここまで高額になり、しかもそれを大の大人が取り合うという状況は、普通ではありません。

もちろん、ふるさと納税品に特化したことについては色々事情があったのでしょうし、安定供給するためには一般販売をストップせざるを得ないというのも、もともとのイコマ製菓の生産力を考えれば仕方のないことです。また、一方で転売に関しても、色々言ったところで基本的には需要あってのものです。金儲けの理論としては間違ってはいませんし、否定する気もありません。

ただ、元々それなりに値段が張る好事家層向け商品ならまだしも、レインボーラムネの場合は、本来非常に良心的な価格で売ることを想定した商品。個人的にはなんともやるせない気分にならざるを得ません。

これはもう、想像になってしまうのですが、イコマ製菓が「レインボーラムネミニ」の開発において、わざわざ味覚糖の申し出を受けたのは、レインボーラムネを取り巻く状況に、作り手としても何かしら思うところがあったからではないでしょうか。本家の話題性だけを重視するなら、わざわざこんな商品を出すことにメリットなどないのですから。

最近では、レインボーラムネにあやかったような商品も登場していますが、むしろ今の異様な状況を考えたら仕方がない面もあるでしょう。むしろ、そうした商品も考慮に入れた上で、「健全な駄菓子としてのポジション」を模索する時期が来ているのではないでしょうか。

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